sec04 - クラス入門:Pythonのクラス設計を学ぶ前に知っておきたい全体像
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このセクションで学ぶこと

このセクションでは、Pythonの「クラス」について学んでいきます。

クラスというのは簡単に言うと「データと処理をまとめた設計書」のようなものです。この設計書をもとに「実際のモノ(インスタンス)」を作り、個別の情報を各インスタンスに保持させることができます。

なぜクラスが必要か

プログラムを書いていると、「同じような処理やデータを何度も使う」場面が出てきます。例えば車のプログラムを作るとします。

  • 全ての車は「走る」「ブレーキをかける」といった共通の動作を持つ
  • 車ごとに「色」「速度」「ブランド」などの情報がある

このような場合、いちいち車種や車体の色ごとに、処理やデータを個別に書くのは大変です。そこでクラスを使うと、共通の設計をまとめておけるので、再利用性が高くなり、バグも減ります。「車の設計」をクラスに書くと、プリウスやカローラといった具体的な車をインスタンスとして作れるイメージです。

各回の学習内容

このセクションで学ぶ内容です。

クラスの基礎とインスタンスの仕組み

この回では、まずクラスインスタンスの違いについて理解します。クラスというのは設計書のようなもので、そこに書かれたデータや処理をもとに実際のモノを作るのがインスタンスです。

たとえば、Carというクラスを作ると、その設計書をもとに「プリウス」や「カローラ」といった具体的な車をインスタンスとして生成できます。また、self__init__というキーワードを使って、インスタンスごとに持たせる変数や処理を定義する方法も学びます。これによって、クラス設計と実際に使うオブジェクトの関係を頭の中でイメージできるようになります。

クラス変数とクラスメソッドを使いこなそう

この回では、クラス変数インスタンス変数の違いを理解し、それぞれの使い分けを学びます。クラス変数はクラス全体で共有される情報で、たとえば「全車共通のタイヤサイズ」や「車の販売台数」などを管理するのに便利です。一方、インスタンス変数はそれぞれの車が個別に持つ情報、例えば「車ごとの色」や「燃料量」などに使います。

また、@classmethod@staticmethodを使うことで、クラス全体を操作するメソッドや、インスタンスに依存しないユーティリティ的なメソッドを作ることができます。さらに、ファクトリーメソッドという概念も紹介し、クラスを設計するときに「簡単に新しいインスタンスを作るための特別なメソッドがある」というイメージをつかみます。

継承とオーバーライドで広がるクラス設計

ここでは、クラス設計をより効率的にするための「継承」の概念を学びます。親クラスに共通の設計をまとめ、子クラスで必要に応じて拡張したり上書き(オーバーライド)したりする方法です。

たとえば、Carクラスに「走る」「ブレーキをかける」という共通の処理をまとめておきます。Carクラスを継承したElectricCar(電気自動車)クラスやGasCar(ガソリン車)クラスは、Carクラスの機能をそのまま使えますし、必要に応じて特別な動作を追加することもできます。super()を使えば、親クラスの処理をそのまま呼び出すこともできるので、コードの再利用性や拡張性が高くなります。

特殊メソッド・カプセル化・プロパティ

この回では、クラスをさらに便利に、安全に使うためのテクニックを学びます。

特殊メソッド__str____eq__といったメソッドを使うことで、オブジェクトの表示や比較などを簡単に行えるようになります。

カプセル化:属性の名前に___を付けることで、外部から不用意にアクセスされるのを防ぐ方法を学びます。

プロパティ@propertyを使うと、同じメソッド名で値の取得と設定の処理をまとめることができ、使う側から見た操作はシンプルなのに、内部では安全な制御ができます。

コンストラクタ/ デストラクタ:コンストラクタ (__init__) はインスタンスを生成するときに1度だけ呼ばれ、初期値の設定や初期処理を行います。逆にデストラクタ (__del__) はオブジェクトが破棄されるときに1度だけ呼ばれ、終了処理やリソースの解放を行います。通信を扱うクラスなら、__init__で接続を開始し、__del__で安全に接続を切断する、といった使い方です。

Docstringでクラスをドキュメント化しよう

この回では、作ったクラスやメソッドに説明を書き残すDocstringについて学びます。Docstring を書くことで、自分や他人がそのクラスの使い方や設計意図をすぐに理解できるようになります。IDE(Visual Studio Codeの自動補完機能など) で表示したり、help()で確認することもでき、コードの可読性とメンテナンス性が格段に上がります。

また、この回では、このセクションで学んだ設計やテクニックを振り返り、より分かりやすく、使いやすいクラス設計を総合的に体験します。

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